秋の銀行



ある日、アメリカ人の教授が私を木の下に連れて行った。


そして、教授は私にこう言った。


「この木の名前は、日本語で銀行(バンク)です。」



え、何!?どういうこと?


全く分からなかった。




しかしながら、木を見ると、明らかにイチョウの木。


秋になると、黄金色に色づく葉っぱが特徴的な木。



どうやら調べてみると、イチョウは英語で「Ginkgo」(ギンコー)と言うらしい。



なるほど、だから「バンクの日本語」すなわち「銀行」と言ったのかと得心した。




別の日に、私はそのアメリカ人の教授を同じ木の下に連れて行って、こう言った。


「この木の名前とこの木の実の名前は異なるが、同じ漢字です」と。




イチョウ」も「ギンナン」も両方とも「銀杏」と漢字で書きますよね。


きっと私の説明は伝わっていないと思うが、自分は同じ木についての言葉遊びを思い付いて、返事ができた、そのことだけで満足した。



秋になると、なぜか、このエピソードを思い出す。